1曲目にして最高難易度!!ショパンのエチュードOp.10-1、鬼のアルペッジョを徹底解説!

難曲

全24曲(+3曲)から構成されるショパンのエチュード。

ピアノ学習者の憧れであり、全曲がエチュード(練習曲)と言う名前からはかけ離れた、超芸術的+高難易度の曲集でありまして、その第1曲目がOp.10-1です。

Op.10-1はこれから大曲達に挑む幕開けにぴったりの壮大で、華やかな曲ですが、パッと聴いた感じ、シンプルで結構簡単そうに聴こえませんか?

似たようなメロディーの繰り返しで、ド派手な和音も無く、ショパンのエチュードと言っても1曲目だし、大したと無いんじゃないかな?って。

…これが弾いてみるとすぐに実感すると思うのですが、めちゃくちゃ難しいんです!!!!

しかも、まさかの1曲目にして全曲中最高難易度!

ショパンのエチュード難易度ランキングで上位に良く挙がるのが以下の4曲。

Op.10-1, Op.10-2, Op.25-6, Op.25-11(木枯らし)
最初の2曲が超高難易度なんて、ショパン様、鬼畜すぎわろたw
では、なぜOp.10-1がここまで難しいのかと言いますと、9~11度の超広域アルペッジョ(和音を1音ずつ順番に連続的に鳴らす)を、これまた♩=176という超高速で弾かなければいけないからです。
しかも、アルペッジョは2小節毎に形を目まぐるしく変えるので、手の形が定まらず、とにかく音を外しやすい!!まさに鬼のアルペッジョ。。。
初めの5小節だけ見ても、
1~2小節目:「ド・ソ・ド・ミ」の10度を「1,2,4,5」の指遣い
3~4小節目:「ド・ラ・ド・ファ」の11度を「1,2,3,5」の指遣い
5~6小節目:「シ・ソ・シ・レ」の10度を「1,2,4,5」の指遣い
と、2小節毎に形が変化しているのが分かると思います。

私自身、全然弾けていないのが現状ですが、自分の理解を深める意味も込めてこの記事を書くことにしました。

曲の概要

【作曲者】フレデリック・ショパン (Fryderyk Franciszek Chopin)

【調】ハ長調

【指定速度】♩=176 (Allegro=快速に)

【拍子】4/4拍子

1830年11月、ショパンが20歳の時の作品。

ショパンが付けた訳では無いのですが、Op.10-1は「滝」や「階段」と呼ばれることがあります。この曲は昇り降りするのに対し、「滝」は上から下にしか流れないですし、こんなに美しい曲を「階段」と表現するのはちょっと…どちらも微妙ですよね笑

アニメ「ピアノの森」のオープニングでは「海へ」と言うタイトルで、Op.10-1の編曲が使われています。

おススメ楽譜

楽譜ってどれを選んでいいか悩みますよね。

特にショパンのエチュードとなると、多くの出版社から出てますし、難しい曲ゆえに楽譜選びは失敗したくないと思う人も多いはず…

まず間違いないのは、ショパン国際コンクールで推奨されているエキエル版です

値段は3400円~と少々高いですが、ショパン国際コンクール推奨とあれば、信頼度バツグンですよね!


次にウィーン原典版。私はこれを使っておりまして、指遣いが細かく書かれていて非常に気に入っています。こちらも3740円~と少々お高め。


最後にコスパの良さと言えば、我らが全音!1870円~と先ほど紹介した2冊の約半額で購入できます。

徹底解説

おススメ解説動画

Op.10-1は、その人気と難易度の高さから、多くの方がブログやYouTubeで解説されていますが、私が非常に参考になると思ったのが、ピアニスト横山幸雄さんがマスタークラスで指導されている動画

横山幸雄さんは1990年の第12回ショパン国際コンクールで3位を取ったり、1日でショパン212曲弾くコンサートをやられたりと、ショパンの第1人者ですが、そんな方のレッスンがYouTubeで見られるなんて、ありがてぇ~!

27分と少し長い動画なので、横山さんの仰っていることを簡単にまとめると下記4点

①手の回転をいかにうまく使って弾くかが重要
②昇りは小指にアクセントが来るように意識して弾く
③リズム練習や分解練習で手に形を覚えこませる
④テンポはゆっくりになっても良いので、音楽性を意識し、ミスなく弾くことが重要
自分が何となく感じていたことを、横山さんもアドバイスされたりしていて、練習のモチベーションと精度が上がります!

練習方法

指定速度の半分♩=88を目標に弾く

まず、速度は一切気にせず、ゆーーーっくり音を外さないように弾く。

初めてこの曲を弾いて驚いたのが、どんなにゆっくり弾いても、音を外してしまう。それほど弾き辛いという事です。

その難しさは「普段弾いたことのない超広域アルペッジョ」から来るものかと。

参考にハノン41番のアルペッジョと比べてみましょう!笑
<ハノン>

<Op.10-1>

見て分かる通り、開き具合が全然違うんですよ!笑

ハノン:「3度-3度-4度」
Op.10-1:「5度-4度-3度」
手がめちゃくちゃ大きい人にとっては多少楽なのかもしれませんが、9度届くのが平均ということを考えると、ほとんどの人にとって非常に苦労するアルペッジョと考えられます。
https://salarymanpiano.com/hand-size/
なので、まずはゆっくりと辛抱強く練習を。リズム練習を取り入れるのも非常に効果的です。
そして、指に音を覚えこませたら、メトロノームを使って♩=88で弾けるように頑張ってみましょう!
♩=88で弾けるようになってから、それから徐々に速度をあげれば良いのです。
ちなみに、私は1年以上コツコツ練習していますが、未だに♩=88でも弾けません笑

手首の回転を意識する

普通に弾いていたら指が届かないし、無理して練習していると最悪手を痛めてしまう…

では、どうすれば良いか?手首の回転を使って弾きましょう!

回転のイメージは下記の通り↓

最初は慣れないかもしれませんが、ゆっくり練習をしている間に、この手首の回転も意識しておきましょう。

こうすることで、手が小さくてもこの曲に太刀打ちできると思います。

また、練習しているうちに指の開きが少しずつ広がる効果が得られますよ!

難所

31小節:きつすぎる4-5の指

一番弾き辛いのはおそらくこの31小節目でしょう。

指使い「1-2-4-5」が指示されていますが最後の2音「4(ラ)-5(ミ♭)」がとにかく厳しい!!!

ただでさへ広げるのが厳しいのに、4の指がシ♭の黒鍵に当たって邪魔するというおまけつき笑

私が考える攻略法は以下の2つ

①4の指のラの音をできるだけ高い位置で打鍵する
②4の指のラの音をできるだけ低い位置で打鍵する

どちらかを使うことで、シ♭の黒鍵の邪魔を回避することができます!

②を使う場合は、意識的に手を下にスライドさせる必要が出てきますが、やりやすい方で試してみて下さい。

それでも厳しい方は多くいらっしゃると思うので、その場合は指使いを「2-3-1-3」に変えたり、左手を使っちゃうのもアリだと思います!

35小節:きつすぎる4-5の指 Part.2

31小節と同じ理由で弾き辛い箇所。

ただし、31小節よりは多少楽なので、31小節が弾ければ怖くない!!?笑

42~44小節:怒涛の乱高下

この曲の折り返し地点となる42~44小節。

一貫して3オクターブの上り下りを繰り返していたのが、ここだけ2オクターブの上り下りになります。しかも、フレーズが目まぐるしく変わるので、変化についていけず、非常に難しい。

これらの難所を弾いた後だと、あんなに難しかった最初のフレーズが、嘘のように弾きやすく思えてしまうのがこの曲の不思議なところであり、気持ち良いところでもあります笑

色んな人のOp.10-1聴き比べ

①反田恭平さんのOp.10-1

第18回ショパン国際ピアノコンクール(2021年)、第2位の反田さんの演奏です。

凄く滑らかな指の動きで魔法みたいです…どうやったらこんな風に弾けるんだろう。。

②角野隼斗(かてぃん)さんのOp.10-1

かてぃんさんも、第18回ショパン国際ピアノコンクールに出場されていて、3次まで残られていましたね♪

こんな大変な曲をめちゃくちゃ楽しそうに弾いてる笑

③小学校3年生のOp.10-1

小3でこの曲弾けちゃうなんてことあるんですね…凄すぎます。。。

まだ、手も小さいだろうにどうやったら弾けるのか不思議でしょうがない笑

これを見ると、手が大きくなくてもこの曲は弾けるんだと思い知らされますね!

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