皆さんが死ぬまでに弾けるようになりたい憧れの曲は何ですか?
ベートーヴェンの熱情?
それともバラキレフのイスラメイ??
色んな曲が出てくると思いますが、私にとってそれはショパンのエチュード10-4です。
初めて10-4を聴いたときの衝撃は今でも覚えています。
ピアノに対する興味がなく、練習もせず週1回のレッスンに通っていただけの小学校6年生の夏。
ピアノの発表会の曲を探すために、訪れたMIDIサイトでこの曲と出会いました。
それから少しは自発的にピアノを練習するようになりましたが、そう簡単に弾けるようになるはずも無く、高校受験と共にピアノは辞めてしまいました。
暫くした頃にのだめフィーバーが巻き起こり、のだめが10-4を弾いているシーンを見て、「この曲知ってる!」という優越感と、「やっぱ、超カッコいい!」と改めて感動。
さらにのだめだけでは無く、
『四月は君の嘘』では相座武士
と、色んな作品で使われており、この曲の人気の高さが伺えます。
そんな憧れの曲をこの歳で挑戦しようと思いまして、練習を始めたのが約1年前。
まだまだ完成からは程遠いですが、少し形になってきたので、自分の理解を深める意味も込めてこの記事を書くことにしました。
曲の概要
【作曲者】フレデリック・ショパン (Fryderyk Franciszek Chopin)
【調】嬰ハ短調(ファ、ド、ソ、レが#)
【指定速度】♩=176 (Presto=急速に)
【拍子】4/4拍子
【音楽用語】
①con fuoco(情熱的に、燃えるように)
②con forza(力を込めて)
③con piu fuoco possibile(できるだけさらに燃えるように)
12曲からなるショパンのエチュード作品10(Op.10)の第4曲目。
ショパンが23歳(1833年)のときに初版が発行され、超絶技巧で有名なピアノの魔術師、フランツ・リストに捧げられた。
23歳でこんなすごい曲集を書き上げるなんて天才すぎる・・・
楽譜
楽譜ってどれを選んでいいか悩みますよね。
特にショパンのエチュードとなると、多くの出版社から出てますし、難しい曲ゆえに楽譜選びは失敗したくないと思う人も多いはず…
まず間違いないのは、ショパン国際コンクールで推奨されているエキエル版です
値段は3400円~と少々高いですが、ショパン国際コンクール推奨とあれば、信頼度バツグンですよね!
次にウィーン原典版。私はこれを使っておりまして、指遣いが細かく書かれていて非常に気に入っています。こちらも3740円~と少々お高め。
最後にコスパの良さと言えば、我らが全音!1870円~と先ほど紹介した2冊の約半額で購入できます。
「弾きたいのはOp.10-4の1曲だけ!」「今すぐ楽譜が欲しい!」という方は、ヤマハの『ぷりんと楽譜』がおススメ。600円でダウンロードできます。
徹底解説
速度について
皆さんはエチュードOp.10-4を聴いて、まずどう思いましたか?
色々な感想が出てくると思います。
私はこう思いました・・・「速い!!!」と。
そうなんです、この曲めちゃくちゃ速いんです。
多くの速度標語がありますが、Prestoってどれくらい?っていうと、速度標語の中で一番速いです笑
Largo(ラルゴ) | 幅広く | ♩=40~50 |
Lento(レント) | ゆるやかに | ♩=50~56 |
Adagio(アダージョ) | ゆっくりと | ♩=56~63 |
Andante(アンダンテ) | 歩くような速さで | ♩=63~76 |
Moderato(モデラート) | 控えめなスピードで | ♩=76~96 |
Allegretto(アレグレット) | やや快速に | ♩=96~120 |
Allegro(アレグロ) | 快速に | ♩=120~152 |
Vivace(ヴィヴァーチェ) | 活発に | ♩=152~176 |
Presto(プレスト) | 急いだスピードで | ♩=176~192 |
Prestissimo(プレスティッシモ) | 極めて速く | ♩=192~208 |
参照:「主な速度標語と目安となるテンポ」https://www.sii.co.jp/music/try/metronome/01.html
参考に有名な難しい・速い曲の速度は下記のとおりです。
◆熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ):Vivace(♩152~176)
◆幻想即興曲(ショパン):Allegro agitato(♩=120~152)
◆ラ・カンパネラ(リスト):Allegretto(♩=90~120)
10-4同様にPrestoの指示があるのは、月光の第3楽章だけですね!幻想即興曲やラ・カンパネラは速く聴こえるけど、指定速度の観点で見ると10-4に比べると少々遅い分類になります。
難曲と比較しても非常に速いということが分かったところで、いざ♩=176を目指そうとメトロノームをかけると絶望します笑
「こんなの弾けるはずが無い・・・」
冷静に考えると当たり前のことなのです。
なのでまずは指定速度の半分の♩=88を目指すべきです!
私は1日1時間毎日練習して、速度めちゃくちゃ遅い&ミスしまくりで1曲を通しで弾けるようになるまで2カ月。指定速度の半分の♩=88で弾けるようになるまで4カ月かかりました。
<♩=88で弾いたときに撮影した動画がこちら↓>
遅いな~と感じると思いますが、ここまで弾けるようになるまでとても苦労しました笑
練習していると速く弾ける箇所と弾けない箇所が露骨に出てくると思います。弾ける箇所ばかり速く弾いてしまうのが人の性笑
通しで弾けるようになったらメトロノームを使い、一定の速度で弾けるように練習してみましょう!
私は半分の♩=88を目標に頑張りましたが、皆様の上達レベルによって♩=60だったり♩=120だったり、これなら弾けるかも・・・という速度に合わせることが大事です。
目標の速度で弾けるようになったら、そこから少しずつ速度を上げれば良いわけです。
ちなみに私は、♩=88から7カ月経った現在、♩=120まで弾けるようになりました!
♩=176の道はまだまだ遠い・・・笑
難所
この曲はどこもかしこも難しいのですが、その中でも選りすぐりの難しい箇所をランキングにしました!
私なりの感想・解説を入れていますが、是非皆様からもコメントをいただけると、嬉しいです。
1位:29-30小節目 難易度★★★★★
難しく聴こえないけど、弾いてみたら難しいのは良くあること・・・しかしここは難しすぎる。
楽譜の見た目も大したこと無さそうなのに・・・不思議ですね笑
右手1の指から□まで→で飛ぶ箇所が全然指回らないは、レガートで繋がらないはで大問題。
手首の柔らかさが超重要なのだと頭では分かっているのですが、私はここを弾く時、力が入って手首がガチガチに硬くなってしまいます(意識しても柔らかくならない)・・・何かいい方法は無いですかね!?
右手の指遣いは3-4-2-1が最適だと思っていますが、ここももっといい指遣いがあれば教えて欲しいです!
2位:31-32小節目 難易度★★★★★
なんと、1位の29-30小節目の次に来る2小節が第2位(あくまで主観です笑)!
29-30小節目と性質は似ておりまして、右手2,5からの3がどうしても速度が落ちてしまいます。2,5の音だけをはっきり出して、残りの音はごにょごよ・・・と言った感じで弾ければ、何とかなるかな?
ここも右手の手首がガチガチになってしまうのですが、皆様はいかがでしょうか?
29-32の4小節は地味なのに鬼門ですね。。。
3位:41-43小節目 難易度★★★★
左手のアルペジオが超ムズイ。。ここはとにかく身体に染み込ませるしかないですね(全体的を通して言えることですが)。
指遣いは最初は違和感あるかもしれませんが、4213が一番良いかと思います。
41、42小節の□は全く同じなのですが、そこで慣れてからの43小節の□・・・弾き辛いったらありゃしない笑
10-4あるあるですが、似たような形してる音の並びなのに、ちょっと変わるだけで全然弾けなくなっちゃうんですよねぇ~。
4位:79-80小節目 難易度★★★★
終わりよければすべて良し!途中ミスしても、最後にバシッとカッコよく決めれば、何となくしまるものですが、最後の最後まで難しいのが10-4です笑
フォルティシモの強烈な右手のアルペジオ。登り「ソミドド」下り「ミソドド」と一見単純に見えるのですが、弾いてみるとこれがくそ難しい。
右手を極力鍵盤に近づけて、吸盤の様に鍵盤に吸い付くイメージで弾くとやりやすいかなと思います。
5位:1小節目 難易度★★★
なんと第1音目からめちゃくちゃ難しい10-4笑
このオクターブのソがめちゃくちゃ難しいんですよねぇ~。ソからファミレの流れがどうしても滑らかに急速に繋がらないんです。最初のソの音を気持ち少し伸ばすイメージで弾くとやりやすい気がしますが、いかがでしょう?
ココは是非皆様の弾き方のコツを教えていただきたいので、コメント下さい!
色んな人の10-4聴き比べ
速すぎる10-4
ピアニスト、リヒテルの演奏。驚異の1分36秒。速い、しかし聴きやすい素晴らしい演奏です。白黒でかなり古い動画だと思いますが、音質は結構良く、こうやってYoutubeで聴けるのは凄いことですよね♪
菊池さんの演奏。1分38秒くらいですかね。速さ、演奏のすばらしさはもちろんなのですが、それを立ちながらキーボードで弾くってめちゃくちゃ凄くないですか?笑 何度見ても凄いです!
奇跡の1分28秒の10-4、おそらくYoutubeに載っている10-4の最速動画な気がします。速さに全振りしすぎていて、演奏に迫力があまりないのが残念ですが、凄いですよね!
子どもが弾く10-4
2021年のショパン国際ピアノコンクール、第4位の小林愛実さんが14歳ごろの演奏です。流石、ショパンコンクールで入賞される方は、小さいころからめちゃくちゃ上手いんですね!圧巻の演奏です。
じゃむ(筆者)が10カ月練習したときの10-4
本記事の冒頭に、4カ月練習した時の10-4を載せましたが、それから半年経った10カ月練習した私の演奏です笑
もっと上手くなったらまた動画を上げたいなと思ってます!
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